先日、ツイッターでは少し触れたのですが、過去20年のS&P500と新興国株指数(MSCIエマージング)の年平均リターン(複利)は、S&P500が5.4%、新興国株指数が7.2%ということで、新興国指数の上昇率の方が高いという結果になっています。
(注)期間は1998年5月から2018年5月末。いずれも配当込み、円換算ベース。
さらにリスクはS&P500が18.3%、新興国株指数が25.0%となっていて、新興国株指数の上下の値動きの大きさが確認できます。
積み立て投資では、リターンの大きさはもちろんのこと、値動きの上下も大きい方が有利だとも言われていて、新興国株指数を積み立て投資のメインにするのが最適だというような考え方もあるようです。
私もボラティリティは利益の源泉だとも考えているので、実践はしていないものの、新興国株指数の積み立て投資には好意的ではあります。
ただ、年平均リターンもリスクも新興国株指数はS&P500を上回っているのに、過去20年の積み立て投資の結果はS&P500が勝利するという結果になっていたようです。
S&P500は累計投資額の2.63倍、新興国株指数は2.61倍ということで、僅差ではありますがS&P500の勝利です。
ここからわかることは、過去のリターンを机上で見ていても、実践のリターンとは必ずしも一致しないということです。
今回の場合も、年平均リターンありきで計算すると、新興国株指数の勝利になってしまいます。例えば毎月1万円ずつの積み立て投資だとします。S&P500なら年5.4%のリターン、新興国株指数なら年7.2%で計算するでしょうから、当然新興国株指数が勝利しますよね。
年平均リターンは、あくまでも年平均リターンですから、途中の値動きはカバーできません。今回の場合は、 新興国株指数は実践では敗北しているのに、机上では勝利してしまうという真逆の結果になっているのですから恐ろしい限りです。
一括投資なら問題は少ないでしょうが、グロスとネットのリターンの誤差にも注意が必要でしょう。
それにしても、S&P500にしろ、新興国株指数にしろ、積み立て投資だとこの20年で2.6倍程度にしか資産が増加していないというのが現実なんですね。
それもグロスの数字なので、ネットだとさらにリターンは低下しているでしょうから、夢から覚める投資家も少なくないのではないでしょうか?
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